標題:
反射的に綾音は握り返す
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作者:
uiyjfumdfe
時間:
2014-6-10 09:02
標題:
反射的に綾音は握り返す
「糸……」「そう、まさに糸。ビーズ細工を想像してみるとわかりやすい。ビーズが細胞で、それを繋いでいる糸が命」
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「うん」「ということは、〈命〉というのは、体中の細胞と細胞、組織と組織を繋いで、まとめて、動かしているもの……ということになる。人の腕は、脚は、すべて命という糸で繋がっているから、思い通りに動く」
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「これが……」「そう。〈魂糸〉」 とんっ、と最後に一つ強く指をはじくと、八千穂は手を離した。余韻はしばらく綾音の体を巡り、徐々に消えた。綾音は頬の熱さが引くのを待った。幾分ぼんやりとした視界の中に、八千穂の背に揺れる二本の三つ編みが映る。――ああ、昨日と同じだな、そう思う。 傍らでは、毅瑠が辛抱強く待っていた。「……わかったわ。とりあえず、前提は了解してあげる」 表わした言葉は、随分と上から目線になってしまった。しかし、自分の体内にある命の糸について、言葉による理解を越えたところで、綾音はその存在を実感した。とりあえずも何もないのだ。――ただ、毅瑠の目の前であげてしまった嬌声の気恥ずかしさが消えなかっただけだ。http://www.cathkidston.235-28thstreet.com 綾音は即答できなかった。毅瑠から目を逸らし、自分の掌を見つめる。この中に、〈魂糸〉という命の糸が張り巡らされているという――hermes バッグ すっと影が差し、綾音は顔を上げた。八千穂が目の前に立っていた。「見えなくても、感じることはできる」
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「……」「乙蔵さん。これは作り話じゃない。〈魂糸〉は普通は目に見えないし、現代科学では観測されていない。でも、こうして俺たちが生きていることが、その存在の証だ。そして、ここから先の話は〈魂糸〉の存在がベースになる。だからまず、そこを信じて欲しい。……仮に信じ切れなくても、前提として受け入れて欲しいんだ」
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「あっ……」 唐突に全身を駆け抜けた熱さに、綾音は思わず声をあげてしまった。慌てて右手で口を抑える。ちらっと毅瑠を見ると、なんともいえない顔で二人を見ている。綾音は耳まで真っ赤になった。
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「〈魂糸(たまいと)〉」と初めて八千穂が口を挟んだ。「たまいと?」「たましいのいと、と書いて〈魂糸〉。昔から、その存在を知る一部の人たちは、命の糸をそう呼んできたんだ」
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八千穂が左手を差し出した。反射的に綾音は握り返す。その手は、さっき握手した右手よりも熱かった。 とんとん――と、八千穂の指が綾音の手の甲にリズムを刻む。
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八千穂が刻むリズムは続いていた。最初の突き抜けるような熱さ――快感以降、体に大きな変化はない。しかし、何か――何か穏やかで暖かなものが体内を巡っているのを感じることができる。全身を巡る――命の流れ。
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