標題:
「んー、これでいいか」
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作者:
aw2koolvcx
時間:
2014-7-23 08:29
標題:
「んー、これでいいか」
イェールカはユーエとイヴの手を引き、跳んだ。人外的な跳躍力だった。 子供三人が着地したのは――。
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「……え」 ネスジア行きの、麻薬を大量に積んだ商船――。「うー、流石に二人は腕が痛かったな。大丈夫かーっ、二人とも」
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ユーエとイヴは凄まじい勢いで遠ざかっていく海岸を、ただ呆然と眺めることしかできないでいる。 赤い海面に白い波が伸びていく。 とてもじゃないが、泳いで戻れる距離ではない。「なんだ、今の音?」 妙な音に、搭乗員が荒々しい靴音を立てて近づいてきた。 イェールカは妙に慣れた様子でユーエとイヴを麻薬の袋の奧に隠し、自身も身を潜める。搭乗員の男はよもや人が飛び乗ったとは夢にも思っていないようで、気のせいと判断して去っていった。 袋の奧で、ユーエとイヴが顔面を真っ青にしている。二人が何故〝そう〟なのか、イェールカは理解できていないようだ。小動物のように小首を傾げ、船酔いかと問う。「イェールカ、その……会いたい人って」 ユーエの――聞き取るのが精一杯の震え声だったが――問いに、イェールカはにかっと笑ってみせる。「ねすじあにいるんだぞーっ!」http://www.dg.1900archstone.com どう考えてもセカンドのテリトリーだ。長居は無用である。「じゃ、行くぞーっ! 転ぶなよっ!」キッドソン ユーエは再度口を開こうとしたがそれは叶わなかった。淀んだ空気にはただ二人の「えっ」という驚愕を示す声、そして地面を蹴る音が響く。
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ユーエはイェールカの腕を引き、「待って」と口にした。 ――否、口にしようとした。しかし,
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。「んー、これでいいか」
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「……うん」 イヴとユーエの心配などよそに、イェールカはずんずんと歩を進める。真っ赤な海沿いを突き進み、セカンド・スラムの方角へと緑色の目を向けて。
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イェールカは突然立ち止まり、謎の一言を発する。 近くでは電子制御の商船が出航のブザーをけたたましく響かせ、赤い海を波立たせている。電子制御なので搭乗員は少ないが、その分凄まじい量の荷物が積載していた。麻薬だろう。ネスジアの金持ち達に売られるのだ。
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イェールカは両肩をぐるぐると回しながら朗らかかつ爽やかな声音で問うた。しかし返答はない。返答できる者がいない。
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限界だった。 もう船着き場まで足を踏み入れてしまっている。今にも出発しそうな船が数隻存在し、恐らくはセカンド・スラムの人間だろう者達もちらほらと見受けられる。これ以上進めば身の危険は免れない。
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