標題:
別に、私も、秘密にしようっていうわけじゃないんだけど
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作者:
6189697gph
時間:
2014-7-23 08:44
標題:
別に、私も、秘密にしようっていうわけじゃないんだけど
「ねえ、リール。本当に大丈夫?」 座席の縁を掴み、爪を食いこませていたリールの手に、エリーゼが手を重ねて言う。温かい肌の温度を感じて、途端に苛立ちが解けていく。リールの強張っていた頬は自然と緩んでいき、心配そうなエリーゼに呆れ顔を向けることもできるようになる。
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「大丈夫だと何度もそう言っているじゃないですか」「気にしてるのかなーって。別に、私も、秘密にしようっていうわけじゃないんだけど。でも、中々踏ん切りがつかなくて。いつかリールには言おうと思ってるんだよ? 本当に」
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世界、世界とリールは口の中で呟いた。精霊達は、エリーゼはこの世界に本来存在しないはずだったと言う。いつだったか、エリーゼが言っていた――獣耳は世界の宝らしい。
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(姉さんの言う世界っていうのは、平和なんでしょうね) 少なくとも獣耳が宝になるくらいだから、精霊神教会は存在しないようだった。お父さん、お母さんと気安く呼べるような両親がいて、友人がいる。いじめもあるようだがそれを諌める存在もいるらしい。なんにせよ、他愛のない世界だった。
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「ただ、姉さんは本当にバカで考えなしですから。ボクの知らないところで、大ポカをやらないか心配なんです。リバーシだって、上手くすればとんでもない利益に繋がったでしょうに、タダで権利をやってしまうと約束するなんて」
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エリーゼは目を瞠った。リールの言葉はエリーゼの心の琴線に触れたらしい。エリーゼはしばらく唇を震わせ、やがてこくんと頷いた。頬を赤く染め、唇は嬉しそうに綻んでいる。http://www.ketomatch.com「世界には、タダより高いものはない、って言葉もあるんだよ?」「どこの世界の言葉です?」 上手い言葉だとは思ったが、聞いたことがない――何気なく返した後、ふと何かが気になりリールはエリーゼを見やった。エリーゼはくすくすと何が可笑しいのか笑っている。シャネル 化粧水(世界――世界? そう、姉さんは、ボクとそう代わらない生活を送ってきたはずなのに、市民が貴族に戸惑うように、貴族が市民を面白がるように、違う世界で生きていた人間を前にした時のような、常識の違いを感じさせる――)
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「別に、急いでくれなくてもいいですよ」 リールは本気でそう答えていた。今は、本当にそう思えている。だが時おり、エリーゼの心を慮ってやれない時がくる。
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「姉さん」「ん、なーに?」「もしも、精霊が姉さんの存在がこの世界にあることを許さなかったら――その時は、二人で一緒に別の世界に逃げましょうね」
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