標題:
夏だった
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作者:
gk7jitbr6er
時間:
2014-7-30 08:54
標題:
夏だった
第1話 〝世界とか救ってましたけど〟 その2,
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再び生まれ落ちる感覚というものがあったら。 もしもそんな感覚を味わえたとしたら、きっとこんな感覚なんなんだろうなと瞬は思った。気づけば、瞬は柔らかい腐葉土のようなものの上に仰向けに倒れていて、小鼻に落ちてきた冷たすぎる水滴に一瞬で意識が覚醒する,
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夏だった。 この場所に来るまで、いや来てもだ、季節は夏だった。夏に決まっている。今朝の天気予報でもアナウンサーが連日の決まり文句として熱中症にお気をつけくださいと読み上げるのを聞き流したばっかりだったはずだ。
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語尾が上がったのは確証が持てなかったからだ。たしかに自分は森の中のぽっかりと開けた場所の大木の下にいた。しかし、
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半ば飛び起きるようにして、辺りを見回すと、「…………?」 まぶたを揉んで、もう一度、「………………これって、違……う,
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?」
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あれほどうるさかった蝉が鳴いていない。果てのなかった蒼穹は厚い葉に遮られまったくうかがうことができない,
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。背中にわき出た汗がシャツを貼り付ける。喉もカラカラになってくる、眼すらも渇きを訴えまばたきの頻度が上がる。
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――こんなに広かっただろうか。 思わず、生唾を飲み込む。胃の底らへんに嫌なもやもやがうずまき始める。
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よろよろと我知らず歩き始めていた瞬は、何かにつまずき、派手に転んだ,
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。「痛つ……」 打ちつけた膝をさすりつつ、転んだ原因に眼をやると――「……なん、で」 見慣れた大石が、落ちていた,
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。 こんなところにあるはずがない。こんな場所に置いたわけがない。ついさっきまであの根元にあったはずじゃないか,
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。 あの場所に置いたときだって、一苦労だったのだ。ずっしりとした質量はとてもじゃないがあのとき持てる代物じゃなくて、汗だくになりながら少しずつ押していったのを未だに思い出せる,
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.com 倒れる前のこの場所はキャッチボールができそうな広さだったが、今の広さは野球もサッカーも悠々できそうなスタジアムクラスといっても過言ではない,
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。 変わったものが多すぎる,
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。場の空間の広さはもう言った、次は何だ、何に驚けばいい,
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。震えそうになる身体に――そこではたと、気づいてしまう,
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じゃあ、どうして今、肌寒さを覚えているんだ。 寒さによる震えだけじゃないことを自覚しつつ、自分の身体を抱きしめた瞬はそれこそわらにもすがりそうな必死の形相で変わってない物を探そうとする,
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